令和元年度2学期始業式式辞

 一人ひとりが胸に抱く進路の実現に向けて勉学に励んだ夏、インターハイに出場できた夏、学習合宿に参加した夏、部活動に汗を流した夏、社会貢献活動やボランティア活動に取り組んだ夏、家族との時間にくつろぎを覚えた夏、久しぶりの人たちとの再会を果たした夏。皆さんにとってどのような夏だったのでしょうか。皆さん一人ひとりが充実した夏休みを過ごせたものと信じています。

 私にとってもこの夏は実りあるものになりました。そのお話をします。7月の初めごろ、自分の学びを今後どのように進めていくのか、拡げていくのかについて行き詰まってしまい、先が見通せなくなりました。一人でいろいろ思い悩んでいたのですが、日頃無沙汰をしている非礼を省みず、昔からお世話になっている先生に相談することにしました。すぐにその先生からお返事をいただき、ある大学の国語教育学会に誘われました。その大学とは縁もゆかりもなく、知らない方ばかりが集う会であり、参加に躊躇するものがありました。知らない人の中にぽつんと身を置くのはやはりストレスです。しかし、こちらから相談をしておいて、せっかくの御助言を受け入れないのは失礼だと思い、思い切って参加しました。

 すると以前御指導を受けた別な先生との再会を果たし、互いのここまでの歩みについての情報交換をしました。後日その先生から御著書まで送っていただきました。その本の中には自分の行き詰まりを解決してくれそうな学びがたくさんありました。また、私が目指す学びの方向性と重なる実践や研究に取り組まれている新しい先生との出会いもありました。後日互いの研究成果について意見交換の場を設けることを約束しました。そしてその学会発表での質疑応答の場において、私が発言した内容について、全く面識のない方からお声をかけていただき、討議を深めることもできました。若い大学院生の発表にも刺激を受けました。2日間の日程を終えた時、なぜ最初参加するのを躊躇したのだろうと思いました。本当に参加してよかったと思いました。学びとは決して一人でできるものではありません。学びに必要なものはネットワークであり、同じ志を持つ人とのつながりです。新たな人とのつながりにより、行き詰まっていた学びの道に希望の光が差しこんできました。人とのつながりを持てることが、生きていく上で必要なスキルであることを再確認した夏でした。

 さあ、今日から2学期です。高校生活のビック・イベントである総高祭に向けて汗を流してください。新たな人とのつながりを作りあげてください。私は特に総高生のオリジナリティがいかんなく発揮される応援パフォーマンスを楽しみにしています。応援パフォーマンス本番は無論のこと、それ以上にワクワクするのは応援パフォーマンスの練習をしている時の生徒の目の輝きに出会えることです。学年を超えて皆で知恵を出し合って1つのパフォーマンスを作りあげていく、その過程を傍らから見ていると、いろいろなことを乗り越えて完成へと近づく様子や、その過程を通して生徒が成長していることがぐいぐいと伝わってきます。だから私は練習の様子がとても楽しみなのです。珠と光る青春の汗の輝きは、皆さんの思い出の宝石箱で一生輝き続けます。 

 そして3年生。2学期は進路実現に向けて邁進しなければならない時です。どんなに苦しくても前へ前へと進まなければならないのです。ここからの日々は君たちが考えている以上にしんどいものです。しかし、そのしんどさが、君たちの人生に花を咲かせる種となる内なるものを鍛えてくれる経験となるのです。あの時の苦しみがあったから今があると、将来しみじみと振り返ることができるよう、これから始まる日々に取り組みなさい。でも人は弱い存在です。もうこれでいいかと思った時、人は苦しみから解放されます。しかしもしそれが安易な妥協であれば、成長の機会を失うことになります。苦しいだろうが、周りに目をやると、同じような苦しみに立ち向かっている友がいる、そういう友人とのつながりを大切にして、ともに成長し、ともに夢を実現させるために努力することを期待します。

 以上3年生へのエールをもって式辞の結びとします。  

                                        令和元年8月23日

               岡山県立総社高等学校 校長 三谷昌士

Comments are closed.

Powered by WordPress, WP Theme designed by WSC Project. ログイン